美味しい干物が食べたい!


グルメも自然食派も注目
今見直される究極の保存食「干物」は奥が深いぞ!
塩干魚を代表する「干物」は、京都塩干魚卸協同組合の名前が示す通り、ちりめんじゃこや助宗子(タラコ)と並び代表的な取扱食材のひとつで、京都市民の食卓には欠かせない存在。
しかしながら、その食材イメージゆえに生鮮食材の華やかさの影でしっかりとそのスタンスを守ってきたわけでは有るが、ここのところの七輪を使った料理店や自然食ブームにのり、更にはネイチャー系の情報誌で干物特集が組まれるなど今、グルメのみならず自然食派に日本の伝統食、干物が大きく注目されている。
干物=新鮮な鮮魚又は海鮮品を開きあるいはそのまま調味液や塩水などで下味をつけ天日或いは日陰で乾かした保存食という事になるが、生鮮食材を口にするのが不可能では無いこの時代に新鮮な海鮮食材をわざわざ加工してまでも食卓で頂くというのは、この上も無く贅沢な一品といえる。これも基本に昔ながらの「保存」という大前提があるにしても、伝統を守り、味にこだわり、天塩にかけた「ホンモノ」が、鮮魚では味わえない、個々の凝縮された特有の風味や旨みを作り出し、この上なく「うまい」ということに七輪ブームの相乗効果や本物志向、自然食ブームもあり広く知られることとなった事が現在、大きくクローズアップされている理由であろう。一口に「干物」といっても加工方法は千差万別、「干物」の一言で片付けられない。主な加工方法は以下の通り
お馴染み、アジ、サンマやホッケ、カマスを中心としたいわゆる「開き」。背開き、腹開き。天然塩の塩水に漬け、天日乾燥させる。
アジを初め、新鮮な白身の魚、グジ、カレイ、キンメダイ等を使用。開き。
素材の味を生かす薄塩で適度に水分を飛ばして凝縮された濃厚な味わいは最高の一言。高級魚の加工法には、最も適している。鮮魚と干物の中間的な存在で、長期保存が出来ないが、一度食べれば、鮮魚をわざわざ干物にしてまで食べる意味が理解できる。
コアジ、イワシを塩水に漬けこみ、日中に干して、夜取り込むと言う工程をカラカラになるまで数日繰り返す。加工により一夜干しに近い「生干し」もまた美味。同種の目刺しはカタクチイワシなどの小イワシの目にワラや竹串を通し連ね同様に乾燥させたもの。新鮮な脂の少ないさんまやカマスなども丸干しや生干しで加工される場合もある。
コアジやイワシを初め、様々な鮮魚を使用して醤油、味醂ベースの調味液に漬けこんで、程々に乾燥させて仕上げたもの。商品により味の個性があり好みが判れるが口に合う商品を見つけられたら病みつき。酒の肴やご飯の共までオールマイティ。
一度はまると抜け出せない干物の究極「クサヤ」。
「臭いがどうしても」と言う方もおられるであろうが、あの「クサヤ汁」が醗酵と熟成を創り出し飛び抜けた旨みを産み出している。産地によりクサヤを水洗いして、塩分、臭いともに押さえた商品も出ている様なので一度、チャレンジしてみては…
これら干物の紹介もまだ一部だけを紹介しただけに過ぎないが、たとえば、いわゆる出汁用の煮干やちりめんじゃこなども干物であり、素材についても地域、地域により特色がある。これをご覧の皆さんも、海辺の町へいった時には、干物販売店を覗いてみると良い。『こんなに干物の種類があるの?』って感心するでしょう。そんな時間の無い人も専門店や百貨店の塩干魚コーナーにいけば、いわゆる無添加、無着色、本物の干物に出会えるかもしれない。しかしながら、干物を見るに、干物について最低限の見分けが出来なければ意味が無い。その基本は、鮮魚を見分ける事に通じるが、無添加干物の目利きの基本に◇ いやな臭いがしないか
◇ 肉付き(ふっくら)として開いた状態の丸みや厚みがあるか
◇ 色つや光沢があるか。透明感と自然の艶があるか
◇ 骨の浮き上がりがでてないか
◇ 信頼のおける販売店、ルートの商品であるかなどなどの目利きを実践し、後は、自分の舌や経験で美味い干物を見つけ出し、本物を見極めていって頂きたい。尚、干物についてもし判らないことや旬の情報などを知りたいことがあれば、日本の美味いもんが一同に集まる京の食彩工房、京都市中央卸売市場・京都塩干魚卸協同組合へ連絡すれば適切なアドバイスをもらえるらしい。
又、市場内団体見学も実施しているらしいので、市場内店舗の商品見学やベテラン目利きの仲卸さんへ干物についての質問や相談をしてみれば、納得の目利き方法を伝授してもらえるかもしれない。その他、色々な情報もあるらしいので…詳しくは京都塩干魚卸協同組合まで…


参考資料:島田静男著「干物づくり朝飯前」創森社刊

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