やがて全ての料理が完成、プログラムは試食タイムへと進行。筆者もご相伴させて頂く事とした。
調理過程を見学し、各料理を一通り試食したところで、日本料理においては『下ごしらえ』というものが大切、それが疎かになっては、どう調理しようとも、まず真っ当なものに仕上がらない、ということを感じた。 肝心の味付けは、正月期間の保存食的意味合いが強いという伝統にのっとり、比較的濃い口である。 まず、京のおせち料理の定番である『棒だらと赤目芋の焚き合わせ』は、比較的素朴な料理で、見た目もまさに「おばんざい」風。ほっこりとした、懐かしいような味わい。その他の料理は、素材のもつ風味、食感、色合いを殺さず、京ならではの繊細なもてなしのこころが感じられる。包丁目のひとつひとつにも、食する人への心遣いが込められている。 京料理に見られる味への追求とは、「もてなしの心」が形を変えたものではあるまいか。その心は、こういう形で伝統となって受け継がれてきたのであろう。 |